
J-RCS®構法物流施設における新たなスタンダード
多様なニーズに応えるJ-RCS®構法
大スパンかつ積載荷重の大きな店舗や物流倉庫等に適した構法。
J-RCS構法は、工法選択肢や適用範囲が広いため、設計自由度が高く、トラックバース等で必要となる梁段差のある場合にも対応が可能。
J-RCS構法とは
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特徴
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J-RCS®構法の柱梁接合部は、S梁が貫通する形式で。柱梁接合部のコンクリートの外周を覆う鋼板(ふさぎ板)を設けることで、ふさぎ板を型枠として代用すると共に帯筋を省略でき施工性に優れた形状としている。
また、柱梁接合部内のS梁ウェブにダブラープレートを付加し、せん断耐力に寄与させることができる。
施工方法は、①RC柱と柱梁接合部ともに現場打設とする方法、②RC柱をプレキャストコンクリート(PCa)部材とし柱梁接合部を現場打設とする方法、③RC柱と柱梁接合部をそれぞれPCa部材とし単体製作する方法、④RC柱と柱梁接合部を一体としたPCa部材とする方法が適用できる。
ダブラープレートによる補強方法や設計法、PCa部材の施工方法についての特許を3件登録済。 -
メリット
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設計自由度の高さ
梁段差やブレースが取り付く場合にも適用できる。また、ダブラープレートを使用することで、梁に偏心してブレースが取り付く場合のように、柱梁接合部に大きなせん断力が発生するような場合にも設計が容易となる。
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施工性の向上
「特徴」に示す 4つの方法を設計条件に応じで選定することで、施工性を高めるとともに品質の向上させることができる。
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技術的信頼性
一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得ているため、一般の確認申請および構造計算適合性判定で対応可能。(第23-05号,2023年5月25日付)
- JFEの曲げ鋼板ダンパーのメリット
- 1設計自由度の高さ
- 2施工性の向上
- 3技術的信頼性
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構造
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J-RCS®構法の柱梁接合部は、S梁が貫通する形式で、柱梁接合部のコンクリートの外周を覆うふさぎ板がコンクリートを拘束するとともに、せん断力を負担する。帯筋はふさぎ板内に配置せず、S梁の端部で柱梁に接する位置に設置する鉛直スチフナ(以下、支圧板という)は省略し、ふさぎ板の奥行を梁ウェブ、高さ方向をフランジまで延長した形状としている。直交するS梁は支圧破壊を生じさせないために、側柱・隅柱(ト字形、L字形)においても必ず取り付くものとし、溶接に支障がない程度にふさぎ板から突出させる(図1)。
写真1 試験体写真(鋼材のみ) 図1 ト字型の模式図 -
基本特性
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柱梁接合部のせん断耐力は、①柱梁接合部内のS梁ウェブ(以下,パネルウェブ)、②S梁に平行なふさぎ板、③コンクリートパネル、の3つの抵抗要素のせん断耐力の和として考えることができる。また本構法では、柱梁接合部内のS梁ウェブにダブラープレートを付加し、せん断耐力に寄与させることも可能としている。柱梁接合部のコンクリートは「Fc=24~60N/mm2」、柱主筋には「SD295~SD490」、鉄骨梁は「基準強度385N/mm2以下」、ふさぎ板は「基準強度235N/mm2以下」、ダブラープレートは「基準強度325N/mm2以下」を使用することができる。
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試験
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試験状況を写真2に示す、加力は、上下柱の想定反曲点位置にピン支承を設け、柱に一定軸力を載荷した状態で、左右梁の想定反曲点位置に逆対称の鉛直荷重を与えた。図2に実験結果(柱せん断力Qc-層間変形角R)を示す。柱梁接合部の設計式による計算値(ピンク線)と実験値は良好に対応している。また、最大耐力を達した後に急激な耐力低下はなく、実験終了時の層間変形角1/25時まで最大耐力の80%以上の耐力(青線)を保持する変形性能を有している。
写真2 試験状況 図2 実験結果